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ドレスは脱ぎ捨てた

更新はまちまち。

風はいずこより

テーマの「苦難」に触れた時、星野さんは言われた。
「人々はなぜか苦難を、先ず不幸と結びつけて考えますね。苦難は不幸であるという先入観があるのですね」

そう言う星野さんの顔は明るく笑っていた。つまり星野さんは、苦難の最中にあっても、決して不幸にならずに生きていけるのが人間だと言っているのだ。私は大きくうなずいた。
マタイ伝の五章にも、人間の幸福についてキリストは述べていられるが、そこには決して、健康な者、金のある者が幸であるとは書いていない。神は人間が何を失った時に不幸になるのか、ご存じの上で人間を創造されたのであろう。私は改めてそう思ったことであった。

 

三浦綾子 風はいずこより 53ページ